「自己責任」という恐怖

政治の世界でも、例えば待機児童の問題に対して、最近では意見が割れているように思います。例えば、こんな意見もあったりします。ただし、明示的に意見を言うことは政治の世界では避けられる傾向があると思いますが、結局のところ予算の配分を見たときにその背景となる意見が透けて見えると言うことはあると思います。なぜならば、数字とは結果であり、結果を成立させる原因や背景が必ずあるからです。それが言語として語られなかったとしても、結果を見れば推測できてしまうのです。

私の観点では、政治とは個人の努力だけではどうにもならないことを、税金を使って制度を作ったり、ある種の弱者を救済したり等の役割があると考えています。例えば、生まれた瞬間から身体に障害を持っていれば、人並みに働いて収入を得ることが難しいため、社会的な制度としてのバックアップが必要である、などの考えに基づいています。

人間を「個人」単位で見たときに、それぞれが抱える基本的な背景は全く異なります。上記の例で言えば身体的な障害になりますが、例えば私は心の観点から問題を捉えています。家庭によって子供が受け取る愛情のレベルは異なっており、それによって、成人する時点でその個々人が持っている自尊心のレベルは千差万別であるにも関わらず、同じように世の中に放り出されてしまうのです。

自己責任論は、一見ひどく正しい意見のように見えます。また、資本主義社会においてある側面から見ればよく機能した面もあるでしょうし、逆に、負の側面を生んでしまったように見えます。その事について書いてみたいと思います。

個人の欲望を最大化するシステム=資本主義(自由主義)

ある文脈において、資本主義にはメリットがあると語られるように思います。それは例えば、個人にフォーカスしたとき、その人の能力や頑張りによって際限なくお金を稼ぐことが出来て、それによって好きなだけ物質的欲求を叶えることが出来る、ということです。この文脈の中では、自己責任というのは良い方向に働けば、その人の頑張りに応じて高い報酬を得ることが出来るし、その意味で世の中に高い価値を出したものが高い報酬を得るという意味で、やりがいがあると言うことに繋がるのだと思います。

昔聞いたことがありますが、社会主義の国では頑張っても収入が比例しないために、人々は堕落し、労働に対するモチベーションが低下していると言うことでした。確かに、頑張っても頑張らなくても収入が一緒であれば、頑張ることがバカバカしくなってしまうかも知れません。

その意味では、人それぞれの頑張り方は違うのであり、提供した価値に従って報酬が異なると言うことは正統だと思えます。その意味において、個人主義的な考え方や、頑張るかどうかは主体的意思決定に委ねられるという意味において自己責任論は正統であるようにも見えます。確かに、フリーターと社会的責任の重い仕事が同じ給料では割に合わないかも知れません。

自己責任という厳しさ

話しを一定の方向に持って行くために自己責任というテーマに沿います。また、私の関心のあるテーマとして心の問題に絞ります。

例えば、生まれ育った家庭環境によって個々人が保持している自己肯定感は千差万別です。それこそプラス100くらいの人もいれば、マイナス100くらいの人もいるでしょう。(本来数値化できるものではないかも知れませんが、便宜的に数字として扱っています)

何が言いたいのかというと、生まれ育った生育環境まで自己責任にするのは間違いだと言うことです。ある程度十分なメンタルヘルスを有しており、健康的なセルフイメージがあって独立した意思決定が出来る状態なのであればそれは個人として必要十分な基礎条件を満たしているため、ある程度自己責任論で語るのも分かる気がしますが、そうでなく、基礎的条件を満たせずに成人するしかなかった人に対しては、何らかの社会的ケアが必要だと思うのです。

劣悪な環境で生まれ育ち、愛を知らずに成人し、凶悪犯罪を犯してしまった人がいるとします。その人に罪があると考えるのが今の法の考え方かも知れません。しかし、その人をそのように育ててしまった環境に責任がないと考えるのは、あまりにも無責任ではないでしょうか。人間は魚や動物と違うのです。エサをあげれば飼い主の責任を果たしたとは言えません。

力を失い、自尊心も失った人にただ自立を求めるのは、暴力的でさえあります

基礎的自尊心を取り戻すには、愛が必要なのです。では、愛とは何か。愛とは何かを定義する人がいますが、基本的に間違っていると思います。なぜならば、本当にそれを追求すれば愛は悟りに通じる概念だと分かるはずだからです。悟りに通じると言うことは、不立文字なのです。定義すること自体は自由なので好きにすればいいと思いますが、自分が何をしているのかは自覚しておく必要があると思います。

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